HELLSING is EXCELLENT!!


それはとある夜の出来事。
俺は、今日の訓練内容を訊こうとセラス嬢ちゃんを探していたのだが、
傭兵如きじゃ一生買えないだだっ広い屋敷内を永遠と歩いても彼女は見つからなかった。
知っているとしたら主人である旦那だろうが、俺としては可能な限り旦那と同じ空気を吸いたくない。つか、あんなマジモンの化物に女の場所訊けるほど俺の精神はタフじゃねえ。
つーことで、俺は彼女の主人の主人で、俺の雇主である鉄の女、いや鋼の女を訊ねる事にした。

「すんませーん、局長ちょっといいですか?」
「む、なんだ」
ノックと同時に扉を開けると、局長は今日も高級葉巻をすぱすぱ吸っていた。傍には老執事がいつものように気配無く控えている。
「セラス嬢ちゃんが見当たらないんですけど何処いるか知りませんか?」
「ああ、そうか今日は傭兵隊の訓練日か」
「そうなんっスよ、でも姿が見当たらなくて」
「セラスならあと5分もすれば戻ろるだろう」
「任務ですか?」
「ああ。ちょっとお遣いを頼んだのだ」
彼女が葉巻の灰を灰皿に落としたとき、腹が震えるような重低音が響いた。
「なんの音だ?」
敵襲か、と思い窓を見るが闇夜に包まれた外は何も見えない。いや、唯一つまっすぐに伸びた光が一つ、猛スピードで屋敷に近づいてくる。
「帰ってきたな」
局長はそう言うと、紫煙を吐き出しまだ随分と残っている葉巻を、無造作に灰皿に押し付けた。
ヴゥウウウン!!!
地の底からの怒号のような、爆音に窓がびりびりと震えた。
巨大な鉄の門扉が自然と開き、一台のバイクを通過させた。バイクはスピードを少しも落とさず玄関前の道を疾走する。
あわや衝突かと思った瞬間、
キキキーーーーッ!
劈くような急ブレーキ音がした。
派手な衝突音が続くかと思ったが、唸る様なエンジン音が聞こえるだけである。
見ると、爆音バイクは大人しく玄関前に横付けされていた。運転手はフルフェイスで黒尽くめなため良く分からないが、随分と小柄である。
爆走バイクの運転手がヘルメットを脱いだ。
辺りはもう真っ暗にも関わらず、きらきらと金色の髪が明るく見える。
陶器のようになめらかな白い肌、快活に笑う顔は間違いなく自分が探していた人物――――セラス嬢だろう。
彼女は玄関から出てきた夜勤の職員と二三言葉を交わすと、そのまま軽やかに格納庫へと走らせた。
それにしてもさっきの爆音といい、どんなエンジン積んでるんだ。
「すげぇバイクっスね」
「まぁな、多少カスタマイズはした。時速500kmは余裕で出る、最高はどれぐらいだろうな」
局長は傍に控える老執事に目配せした。
「理論上は700kmは出ます」
「だそうだ」
「それ、人間が乗る二輪車じゃないです」
夜で遠目だったから車体がよく見えなかったがアレはかなり車重あるぞ。
嬢ちゃんは軽々と乗っていたが、戦車以外の地上・航空兵器を撃破可能な砲撃装備を難なく扱うような女だ。参考にならん。

コンコン。

「入れ」
「失礼します。遅くなってすみませんインテグラ様」
入ってきたのは、先程の爆走爆音バイクの運転手セラス・ヴィクトリア嬢。
いつもの制服ではなくバイク用の革ツナギである。普段のミニスカ、ニーハイもいいが、ツナギもいい。
上下一体となっている黒本革のそれは、彼女の肌にぴっちりと張り付き、メリハリの利いた曲線を惜しげもなく晒し、柔らかな肉体の凹凸が電燈の明かりで複雑な陰影を描いている。
歩く度に揺れる美乳が否応無く目を引く、いや最上の歓喜でそこに釘付けにされます。だからもっと揺らせ。
ぴゅーと口笛吹くと彼女がこちらを向いた。
「あ。隊長さんもいたんですね」
今気がつきました、とばかりに彼女が笑う。
見蕩れるほどの魅惑のボディとは裏腹な爽やかな笑顔が眩しい。

「例のものはちゃんと受け取ったな」
局長の言葉にセラス嬢ちゃんは「はい、ここに」と首筋のベルトに手をかけて、―――止めた。
そして先程とは打って変わって、俺を睨むと扉の方を指さした。
「・・・・隊長さん、ちょっとあっち向いててください」
「へ?なんで?」
「いいから!」
苦虫を噛み潰した顔に羞恥の朱が射している。
まさか・・・・・・まさかそんな美味しい展開があっていいのか!?
「いやいや、なんでだよ」
「い・い・か・ら!あっち、向いててください!」
ごきっ!
奇声と異音を立てた俺の首は、強制的に身体ごと扉へと向けられた。
「私がいいって言うまでこっち向かないでくださいよ!」
こっち向くなって、そもそもこの首動くのか。すげぇ嫌な音したぞ。

パチン

この音は・・・!まさか、いやしかし、これはどう考えても先ほど外そうとしたベルトの音だ。
まさか本当にそんな所に“例のもの”とやらを仕舞っていたのかよ。どんだけ最高な女なんだ。
ならばきっと今にあれが開く音がする筈だ。

ジジーッ

おお!まさしくだ!絶対にスーツのファスナーを下げる音だ!
これは男として振り向かねばならない!否、振り向けと言われているのだ。首がどうしたというのだ。ここで振り向かねば男じゃない。
あの黒スーツに押さえ込まれている輝く乳を己が瞳に焼き付けよ、ベルナドット!
爺ちゃんもそう言っている!
振り向け、ベルナドット!!

びしゅっ!

空気が通り過ぎた。圧縮された空気の塊が俺の目の前っていうか、おおい俺の前髪切れたぞ。あれか、これデスピン・エアーか?
「私がいいって言うまで向くなって言いましたよね」
Jesus!
振り向かなくても分かる、俺の後ろには化物がいる。

「これです」
「ご苦労だったな」
「いいえ。これくらいならいくらでも!」
「どうしても今日中に手元にほしくてね。そうだあのバイクはどうった?」
「私はじめてバイクに乗ったんですけど、あんなにスピードでる物なんですね。えへへちょっと楽しかったです」

あんなにスピード、ってあれでどんだけスピード出したんだ。
車重とか空気抵抗とか色々問題ありまくりだよ。
大体どうやってコントロールいや、走らせたんだっていうか、アレ公道走行していいのか?どう考えても違法改造車だろ。
警察なにしてんだよ。これ取り締まらずになに取り締まるんだよ。
つか、ちょっと楽しかったって言うか・・・嬢ちゃん初心者かよ!!
旦那も大概だが、嬢ちゃんも随分と化物じみてきてるぞ。それで半人前って、一人前になったらどうなるんだ。
はっ!
しまった。俺としたことがくだらねぇ会話に気をとられ過ぎた。
「もういいですよ、隊長さん」
Jesus!
生乳隠されちまった!
嗚呼、乳が、せっかくの乳が、生乳拝めると思ったのに。
怪物相手に一生懸命に戦争している俺に一瞬のご褒美をくださってもいいじゃないですか、神様。
ちょっと今夜のおかずにするだけですよ。それで頑張れるんだからお安いじゃないですか、神様。
つかムチムチボディーにピチピチツナギ着せた局長の方が、よっぽど変態じゃないですか、神様。
あ、すみません。最後の言葉訂正させてください。
あのムチムチボディーにピチピチ、ぱつぱつツナギを着せて下さった局長はサイコーです、神様。
でも、それでもやっぱり見たかった生乳!
泣けど喚けどもう生乳を拝むことはできない。
絶望に膝を折り泣き崩れる俺を心配したのか、嬢ちゃんが不安そうな顔で近づいてきた。
「隊長さん、大丈夫ですか?」
目の前には揺れる果実。
輝く本革が余すことなくその美しく柔らかな曲線教えてくれている。
これは厳然たる事実だ。ならば男が取るべき道は一つだ。
「嬢ちゃん」
「なですか?」
「俺にその乳を揉まっ」
どごぉっ!
「セクハラですっっっ!」
見事な右ストレートだ。オーク材の堅い床板と熱いヴェーゼするしかねぇ。
倒れる直前に目端に冷めた顔した局長と老執事の顔が見えたが俺には関係ない。
嬢ちゃんは湯気が昇りそうなほど怒りながら、床を踏みつけ扉へと向かう。
最低ですっ、とか信じられない、とか言葉が聞こえたような気がするが、それも関係ない。
俺は最後の力を振り絞り、扉に向かう嬢ちゃんを見遣った。
まっすぐ伸びた背。その下で揺れる尻肉。
嗚呼、いい尻だ。乳もいいが尻も捨て難い。
「局長」
「なんだ」
「自分、ヘルシングに雇用ってもらえて最高です」
「そうか、それは良かった」