「あんた、何やってんの…」
カカシは自室のドアを開けたことを後悔した。そう、後悔したのだ。
この目の前で繰り広げられている出来事は日常茶飯事なのだから慣れきっているはずなのにどうしてか神経は逆立ち気分は最低でひどく苛立っている。
「あ。カカシさん、おかえりなさい」
とイルカは笑ってカカシを迎えた。そのすぐ傍には顔面蒼白でみっともなく震える男いた。
「あ、あの、こ、これは、あのっっ…!!」
男はこの現在の状況をカカシに報告しようとするが緊張のあまり呂律がまわらず何度も同じ言葉を繰り返すだけだった。そんな男の言葉にカカシの苛立ちはさらに募る。イルカは口元に軽薄な笑みを浮かべて男に助け舟を出した。
「あなたの優秀な部下に銃の扱い方を教えていただいているんですよ」
「へぇ…銃の……」
カカシはちらりと男の方を見た。男はそうなんです、と何度も首を立てに振った。
「はい!そ、そ、そ、そうですっ!!」
確かにイルカの手にはセーフティ・ロックのかかった銃が握られている。
「ふぅん…そんな格好で?」
カカシの冷えた目が二人を見下ろした。それはそうだろう。一体何処の世界にシャツのボタンを一つも止めずしどけない姿で銃をもつ男を後ろから抱きこむようにして銃を扱いを教える人間がいるだろうか。
しかしイルカはにっこりと笑って肯いた。
「ええ、そうなんです」
その後ろで男は震えるだけで何も言えずにいた。
「……だったら証拠を見せてよ」
カカシはぽつり、と小さく呟いた。
瞬間、ガゥン、ガゥンッ!!!と二発の銃声が部屋に響いた。
「なっ!」
悲鳴のような呻き声が聞こえたかと思うとイルカの後ろにいた男の膝が、がくりと落ちその場に頽れた。その腹からどす黒い血がじわじわりと染み出し絨毯を赤く染めいく。
「これで証拠になりますか?」
イルカはにっこりと笑ってカカシに尋ねた。その手には安全装置が外された銃が握られている。
「証拠がなくなったの間違いじゃない?」
「イヤだな〜、カカシさんったらこれが証拠じゃないですか」
ほら、と言ってイルカは男のシャツを引きむしり胸に張られたテープをぴしっと引き剥がしカカシに投げてよこした。カカシはそれを面白くない顔で眺めると床に落とし踏み潰した。
「こいつ黒だったの?」
「そうですよ。黒の黒、真っ黒ですよ〜」
イルカはそう言うと動かなくなった男の背広から財布を取り出した。「わぁ分厚い財布ですねぇ」と笑いながらカードポケットからぼろぼろとカードを抜いていく。そして一枚のカードキーを取り出した。何の変哲のないカードだがそこに記された番号は二人にとって大きな意味をもっていた。
「こいつそんなもんまで作ってたの」
「ほんとよくできてますよ。形から色、番号までたぶん磁気コードまで完全に複製してるんじゃないんですか」
カカシは溜息をつくと懐から煙草を取り出し火をつけた。薄い煙がゆるゆると立ち上る。
イルカは男の身体を調査していた。どうやら男には他にも秘密があるようだった。次々と見つかる情報に感心しながら
「それにしても物騒な世の中ですね〜」
と呟いた。
カカシは溜息をつき
「あんたが一番物騒だよ」
と言った。


マフィアでカカシ→ボスで、イルカ→愛人という設定でした〜
2007/03/11
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カカシは自分の身体が消えかけていることに気づいた。手が半透明になり実体を保てなくなっている。もう祈り子の眠り、夢が消えかけているのだ。
これで終わりか…、そう思い顔を上げるとイルカが眉を寄せてじっ、とカカシを見ていた。その顔は今にも泣き出しそうだった。
「ごめん。もう帰らなくっちゃ」
とカカシは謝った。イルカはふるふる、と首を振る。何度も何度も首を振った。
「案内してあげられなくてごめん…」
カカシはイルカの目を見て言った。その濃藍色の瞳がどんどん涙で滲み濃くなっていく。イルカはその涙を、カカシの言葉を否定するかのように首を振った。
涙が頬伝うことはない。
だが、今にも堰を切って溢れ出そうだった。
そんなイルカの顔を見てカカシは少し困ったように笑う。そして静かに空へ向かって歩き出した。虹色に輝く幻光虫が天高く舞う。
「待って!」
イルカは跡を追いかけ手を伸ばした。しかしその手は何も掴むことはでできなかった。それでもその背に手を当て必死に存在を感じようとした。
そして
「ありがとう」
と背中に向かって呟いた。
カカシは振り返ることなく歩き出し光渦巻く雲の中に消えていった。


FF]のED(うろ覚え)でティーダ→カカシで、ユウナ→イルカという設定でした(痛)
2007/03/13
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イルカ先生はアイスが大好きだ。
大好きだ、てもんじゃない、愛してるっていうか信仰してるっていうか…まあ所謂アイスフリークだ。

「あんた、またアイス食べてるんですか?」
右手には銀のスプーン、左手には赤いカップ。中身は乳白色。視覚的、嗅覚的にバニラだと確信した。
「う…。いいじゃないですか!中忍のささやかな楽しみを奪わないでくださいよ!!」
先生は一瞬困った顔をしたが、次の瞬間にはキッと噛み付いてきた。どちらも上目遣いでやられても可愛いだけだ。
俺はそんなことを考えながら先生の隣に座った。
テレビでは実録!警察24時、だなんてスリルとサスペンスのドキュメンタリー番組がやってる。俺らの仕事なんてこれ以上のスリル(というかギリギリ?)があるのになんでこんなもん見てんのかね、この人。まぁ、好奇心で見てるていう感じか。実際あの目と口元はTVアニメ見てる子どもといっしょだし。
でもアイスを口に入れた瞬間、それが崩れる。それはもう見事に。
これ以上の幸せはありません、みたいな。
はっきり言って面白くない。
「そんなに美味しいんですか?それ」
「美味しくなかったら食べてません」
と、つん、と澄ました顔で言われた。
まぁ…そうだけどさ。でも、そういうこと聞いてるわけじゃないし!
つか、何で俺が話しかけたらそんな無愛想になるわけ。さっきまでどろどろに溶けちゃったアイス(=無茶苦茶幸せ)みたいな顔してたじゃん!これがツンデレってやつか!
「別にガリガリ君でいいじゃない」
量的にも経済的にも良心的な提案をした。が、
「なっ、あんたアイス馬鹿にしてるんですか!?」
「は?」
先生は驚愕と憤怒と侮蔑が混ざったような顔で俺を見た。え。さっきの俺の提案のどこにアイスを侮辱する部分があったんですか?
「ガリガリ君はアイスクリームじゃありません」
「へ?」
はたけカカシ、26歳。はじめてガリガリ君がアイスじゃないと知りました。
て、ええぇえェェ!??嘘っ!あれアイスじゃないの?じゃあ四代目が「今日はアイス奢ってやるよ〜」て言ってガリガリ君を俺らにくれたのは何?嘘か誑かしか詐欺か!!
混乱する俺に先生は優しく、熱く説明してくれた。
「いいですか。アイスクリームってのは乳及び乳製品の成分規格などに関する省令上、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(はつ酸乳を除く)をいうんです!
つまり乳固形分3.0%以下のガリガリ君はアイスクリームじゃなくて氷菓の部類にはいるんです」
乳固形分(という言葉)しか分らなかった。
ま。確かにガリガリ君はクリームじゃないよな…。フリークだとは思っていたけど…まさかここまでとは。
「随分詳しいんですね…」
と呆れと尊敬(9:1)の目で見たら
「常識ですよ」
と、なんだか蔑んだ目で見られた。

常識じゃねーだろ!!(内なるカカシ)


第一部で付き合い始めて暫く経った頃の2人。アイスフリーク・イルカ(リングネームみたい/笑)
2007/03/17
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「…カカシさん」
聞こえた声はこれ異常ないくらい悲壮なものだった。ふと、顔を上げるとイルカ先生が目を真っ赤にしてこちらを見ている。
「ダメです…もう、ダメです」
そう言って先生ははらり、と一筋の涙を流した。
「え、先生っ!!」
俺は口の中の唾を飲み込んだ。
「ダメなんです…もうもう…ダメです」
固く締めた右手がガタガタと震えている。
掠れた声でそんな目で言われたらもう誘われているとしか思えない。こんなところでだなんて、先生今日は大胆ですね!なんて思っていたら
「かわいそうに。カカシなんて放っておきなさい」
先生の隣に座っていたクレナイが先生の肩をぽんぽん、と叩いた。
「クレナイさんっ!!」
先生は目を潤ませて、ひしっ、とクレナイに抱きついた。
「ええぇええッ!!ちょっと待って!話しが見えないからッッ!つか、クレナイ離れろッ」
「まぁ、飲めや」
と隣のアスマがグラスに冷酒を注ぐが、ヒゲ熊にお酌さても全然嬉しくねェ!!つか、それビール入ってたグラスだから!
アスマのボケは放っておいて取り敢えず、クレナイから引き離そうと手を伸ばしたら先生が「にゃッ!」と奇声を発してクレナイの後ろに隠れた。ますます引っ付いただけだ。しかもクレナイはそれをこれ見よがしに見せ付け勝ち誇ったかのような笑みを浮べている。
先生は酔うと奇声と奇行が多くなる。たぶん今日もそれだろう…。現にあの目は完璧に酔っている。だからクレナイと同じものを飲むな、て言ったのに!
取り合えずご機嫌を回復させないと今晩のいちゃぱらが!!
て、ことで今日一日の行動を反芻していると
「カカシさん、それ食べたでしょ」
と親の敵でも見るような目で七輪の上の網をみている。その先にはこんがりいい色に焼けたホルモンが。
「ホルモン?」
俺は箸で持ち上げた。
「ぎゃっ!そんなもんわざわざ見せなくていいですっ」
「あ。はい」
俺は大人しく網の上に肉を戻した。
「ホルモンなんて人間の食べるもんじゃありません!」
「は?」
あ、先生ホルモン嫌いなのね。まぁ好き嫌いが分かれるもんだとは思うけどさ、そこまで言うかね。
「そゆわけでカカシさんとはお別れです。」
「えぇ!?何で!」
横暴だ!支離滅裂だ!
「当たり前でしょ!ホルモンなんか食った生物とキスできますかっ!?」
と言って持っていた箸で網の上のホルモンをぶすり、と突き刺した。
憐れホルモン、そのまま網下の炭へ真っ逆さま。いい感じだったのに。
て、違う違う!
「そんなもん、できるに決まってんでしょうがッ!!」
「俺にはできないんですよッ!」
「愛があればできるでしょっ」
「あんたへの愛はホルモンに負けたんだよッ!」
「うそぉ!!」
今の一撃はきつかった。俺、ホルモンに負けたのか…。クソ…っ!なんでホルモン食べたんだ、俺!!
隣を見るとアスマとクレナイがキムチで酒を飲みながらニヤニヤとこちらを見ていた。
「……カカシさんがホルモンさえ食べなければ」
先生が遠い目をしながら言った。でも…
「もう食べちゃったしねェ」
クレナイがアハハと笑いながら言う。この鬼女めェェ!
「でも俺、カカシさんと一緒にいたいです…」
ぽつり、と先生は泣きそうな顔で言った。
「先生っ!!」
俺は涙で前が見えなくなった。やっぱり先生は俺のこと愛してくれてるんだ!
「じゃ、追加注文は全てカカシさんの奢りで」
「へ?」
あれ?待って、先生、あなた酔って、るん、だ、、よね?今ちらり、と超理性的な目が見えたんですけど
「すみませ〜ん!追加でこの国産牛のメニュー上から順番に7人前ずつでもってきてくださ〜い!あと生おかわり!!」
「ええぇえ!!」
国産牛?上から順て、えええぇえ!!??つか、先生まだ飲むの!
「あ。梅豚タン塩とサンチュセットと白菜キムチもお願い〜」
「泡盛と枝豆とこのピリ辛豆腐ってやつも。あと網も交換してくれ〜」
「お前ら二人は自腹な」
「イルカちゃ〜ん!カカシがいじめる」
「カカシさんて以外に小さい人なんですね…」
ふっ、と遠くを見て言った。なんだろ、その微妙にひっかかるような言い回しは。
「解りました!奢りですっ!全部俺が奢りますっっ!伊達に上忍やってるわけじゃないですからね!!」
俺はそう高らかに宣言した。

この数時間後、俺は焼肉屋ではあり得ないような金額を目にすることになる。


ホルモン嫌いのイルカ。カカシとイルカと紅とアスマ@焼肉屋。
2007/03/18
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イルカ先生は無類のアイス好きだ。
好きだ、てもんじゃない、愛してるっていうか信仰してるっていうか生き甲斐っていうか…まぁ、所謂、アイスフリークなのよ。
俺の中でのアイス=冷たいもの、ていう図式は前回のガリガリ君事件(?)で崩壊。アイスクリーム云々はきちんと法律で決まっている
ということをお勉強しました。 で、先生の一番のお気に入りはアメリカ生まれのあのアイス。
コンビニ、スーパー、ディスカウントショップと色々なところで売られてるあのアイス。
ガリガリ君と内容量は同じなのにの4倍の価格のあのアイス!
だけど今日はあのアイスではない。いや、正確に言うとミニカップではない!今日はガリガリ君の約1/2の容量で5倍の価格のクリスピーサンド!!
先生はそんなガリガリ君の約1/2の容量で5倍の価格のアイスを今日もテレビを見ながらご賞味なさっている。
普段俺に中忍で内勤で薄給だから飯奢れ、て脅すのに、何故そんなアイスを食べるのだ!矛盾してるだろ。

「ねぇ、せんせ。別にハーゲ●ダッツじゃなくてもいいんじゃない?」
「何でですか?」
先生の手にはクリーム色のようなアイスをブランドのロゴで型押しされたウエハースで挟んだガリガリ君の約1/2の容量で5倍の価格(しつこい)のクリスピーサンドがある。どことなく芳ばしい香りがする。箱見たらカフェラテて書いてあったからたぶんコーヒー系なんだろ。
「他にも色々美味しいアイスでてるし」
「まぁ、そうですねぇ…」
先生はぼんやりとテレビを見ながら一口齧った。サクリと歯ごたえのいい音がした。
「レディ・ボー●ンとか和ご●ろとかア●ベジィとか、それにカロリー抑えたアイスもあるみたいだし」
「あんた俺が太った、て言いたいんですか?」
一瞬にして絶対零度の世界。
「いいえ、まったく!!寧ろ何でそこで反応すんの!つか、俺的には少々お肉が合ったほうが抱き心地ががいいかなァ、て」
「あっそ」
「何で、普通はここで反応するもんでしょ?」
「ちゃんと反応はしましたよ。あっそ、て」
「ああもうっ!取り合えず何でハー●ンなわけ?」
先生は俺の顔を見た後、小さく溜息をついた。きっと悲しく嬉しいアイス講座のはじまりだ。
「いいですか、スーパーはもちろんコンビニでも自販機でも買えるスーパープレミアムアイス。それがハーゲ●ダッツです。いつでもどこでも手軽に最高の味を提供し人々に幸福と安らぎを与えているんです。創始者のルーベ●・マタスは"完璧を目指す"という独自の哲学を持ってハーゲ●を誕生させました。そしてそれが多くの人に受け入れられ認められたからこそ今のハー●ンの地位があります。……中忍で内勤で薄給の俺がそんなささやか幸せを掴むこと、彼の素晴らしい哲学に賛同し共感することは、罪ですか…?」
「いいえ、まったく!!」
取り合えず先生に罪なんてもんは存在しないので否定。
大体最初は熱く語っていたのに最後のほうは自分に非があるのか、と涙が零れそうな悲しい目で見られたら肯定なんてできるはずないだろ!先生はきっと俺が涙に弱い事知ってるよ。この性悪小悪魔め!
「よろしい。じゃ受付にハーゲ●ダッツ専用自販機設置要望書に名前書いて下さい」
と言って何処から取り出したのか全く不明な書類を一枚差し出した。
「は?」
あれ、またこの人変なこと言いはじめたよ…。つか、さっきの涙はどこへいった!!
「長い道のりを経てやっと木の葉の受付にやってきた人々にささやかな幸せと安心を届けてあげたい、という気持ちを具体化してみようと思うのです」
「はぁ…」
「過酷な任務に疲れた忍をこれから任務に赴く忍を少しでも癒しと励ましを送りたい、という気持ちでもあります」
おずおずと
「俺的には先生とのエッチが癒しにも励ましになるんですけど」
と手を上げたら、びしっと
「それはあんたの場合だろ」
と言った後に
「それとも俺が遊ぶことを許してくれるんですか?」
とにっこり笑った。
「嘘です!!」
この人、野放しにしたら大変なことになる!やっとあの遊び癖が落ち着いたところなのに。
「大体、病院にはおいてあるのに受付に置いてないのは不公平じゃないですか」
先生は忌々しいと言わんばかりにぎりッと歯を食いしばった。
「て、そっちが本音じゃないですか!!」
「ふっ。良くも悪くも人間を動かすには強い力が必要なんですよ。それで書くんですか、書かないんですか?」
先生の両目がじっと俺を見ていた。その目は暗く怪しく一切の光がない。書かなかったらお預けになるのかなぁ…と脳裏で漠然と思った瞬間、ペンをとっていた。
嘆願書を見ると既にはびっしりと名前が書いてあった。……こんなに信者がいたのか!下忍中忍はもちろん、特上上忍まで。アンコは言わずもがななのだがアスマの名まであった。俺は感心と恐怖を覚えた。
自分の名前を書いているとサクリ、と音がした。顔を上げると先生が最後の一口を食べた後だった。俺が名前を書くことに満足したのか最後の一口という貴重さに酔ったのか、にこりと笑ってこう曰った。
「知ってます?ハーゲ●ダッツ味の切手もあるんですよ」

どうでもいいよ!!(内なるカカシ)


アイスフリーク第二弾。ちなみに切手、事実ですよ。クッキー&クリーム、マカデミアナッツ、ストロベリーチーズケーキとかでドイツのTBWAがオーストリア郵便局と共同でつくったみたいです。
2007/03/21
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!!caution!!
(私的には)死にネタではありませんが、人によっては不快に感じるかもしれません。それでもよろしければ続きをどうぞ。



 イルカは絹のパジャマを身に纏いリネンの寝具と羽根布団に覆われ、大きなベッドに横たわっていた。淡いスノーホワイトの袖は静かに上下する胸の上に置かれている。
 部屋の南側にある大きな窓からは柔らかい陽射しが差し込み、室内を明るく照らしていた。


 カカシは黒スーツの内ポケットからピルケースを取り出すと中身を確認した。数をかぞえ足りないものを補充すると懐にしまった。棚から微細な装飾を施されたクリスタルの水差しを取り出すと光に翳し中の匂いを確かめた。あらかじめ冷蔵庫から出しておいた水をグラスに注ぎ光に翳してみて不純物が混じっていないか見極めたあと口に含み温度と味を舌の上で水差しに移してもいいか考える。カカシはグラスをテーブルに置くと水を水差しに注いだ。
 ふと、カカシの手が止まる。
 水差しはまだ半分以上の余裕があった。
 しかし、カカシは手にしていたものすべてをその場に置くと部屋を飛び出した。


 イヤな予感がする。


 カカシは手を硬く握りながら廊下を走った。足音は絨毯に吸い込まれるだけだった。広く明るい階段を駆け上がり一番奥の部屋を目指す。
ポケットから銀の細い鍵を取り出し鍵穴に指し回すがそれすら煩わしく感じる。カチャリと音がして鍵が開くと同時にドアノブを捻り両扉を大きく開け放った。

 大きなベッドにはこんもりとした羽根布団の塊があった。
 だが、そこには目当ての人間はいなかった。

 頬を柔らかな風が撫でた。

 カカシは自分の手が震えているのに気がついた。

 部屋の窓は開け放たれていた。

 カカシはベランダに飛び出た。
 しかし彼の姿はない。

 カカシは手すりに手をおき、恐る恐る下を見た。

 ベランダの下には真っ赤な薔薇が咲いている。美しい赤の潅木には黒い髪と絹のスノーホワイトが歪な形を描いていた。
 それは太陽の光を反射し、カカシの目を焦がした。


2007/05/31
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